青島幸男、死去


 青島幸男が亡くなった。かつて竹中労は女優、作家、声優とマルチな才能を発揮した中山千夏(まだ彼女が若かったときな)を評して「駅弁才女」と呼んだ。*1カツもあれば、カマボコもあれば、エビフライもある。駅弁は重宝なもので皆に愛される。しかし、臨終の際に「駅弁を食って死にたい!」と叫ぶ阿呆はおらん。マルチな才能というのは重宝だが、長い目で見たら器用貧乏になってしまう。青島幸男もまさに「駅弁才人」というべき人でいろんなことをやった人ではあるが、何が本業かよくわからず、近年の政治活動にどうしても目は向いてしまう。政治家としては「佐藤首相は財界の男メカケだ」と都知事としてのヘボヘボぶりぐらいしか思いつかんので、政治家として評価されるのはこの人の不幸ではありますな。

 まあこれだけいろんな活動をした人なので様々な評伝が出ると思うので、評価が定まるのはこれからだろう。ただマルチタレントという概念を作ったのはこの人がはじめてで、相当、食いでのある駅弁でああったことは確かであろう。本業がわからんと書いたが、強いて挙げるのなら「職業:青島幸男」というべきか。そうした言い方をしても、嫌味に聞こえなかった人であった。

 子供のときに見た「意地悪ばあさん」が思い出深い。少年時代の私はこのドラマが大好きで放送されるたびに喜んでみていた。今にして思えば、これイッセー尾形も巡査役で出ていたのだ。映画出演はクレージーキャッツ全盛期に出た、クレージーもの数本と唯一の初主演作「告訴せず」、晩年にも数本出た。「告訴せず」はこないだ高槻松竹セントラルで見たが、拍子抜けするぐらいつまらない作品であった。何より青島の演技がむごい。本人は自然体なつもりなんだろうが、ただの棒読み演技で映画のリズムがぐだぐだになっていた。よかったのは序盤のメシ作ってるシーンだけだな。

 「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」ではその「自然体」が老境を迎えて、綺麗に枯れていたが、これは出演シーンが細切れなのを見ても監督の本木克英がよいところだけうまく切り取ったというべきだろう。まあ出演よりも注目すべきはシリーズのために青島幸男が作詞作曲した「とりあえずは元気でいこうぜ」。釣りバカ日誌シリーズにあふれるお祭り気分満載の楽しい歌でシリーズの主題歌になった。初日の舞台挨拶で主題歌について触れた部分があるので引用しておく。

 打ち上げの日に、みんなで酒盛りになりまして、その時に「寅さんには主題歌があるのに、これはどうなんですか?」「これは決まったのがないんだよ」「それじゃあ、私、作りましょうか」なんて余計なこと言っちゃったら「頼みますよ」って言われちゃって、その場で決まってしまいまして。それで、出来上がったのがこれです。
自分で言うのもなんですが、なかなか評判がいいみたいで。西田さんが歌ってくださっていますので、それが何よりの力だと思っています。

 ほとんど思いつきだけでこんなの作っちゃうんだから天才だわな。享年74歳。病弱だった割には長く生きた。合掌。

釣りバカ日誌 12 史上最大の有給休暇 [DVD]

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とりあえずは元気で行こうぜ

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ちょっとまった!青島だァ (双書 時代のカルテ)

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・・・「湿った火薬」と言い、矢崎泰久は暴露本好きだよなー。まあ読んでますけど、これ。

人間万事塞翁が丙午

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・・・これも大学時代に読んだなー。結構面白かった思い出が

いじわるばあさん (1) (朝日文庫)

いじわるばあさん (1) (朝日文庫)

・・・「サザエさん」でも垣間見える長谷川町子のブラックユーモア、悪趣味っぷりが楽しめる作品。はっきり言ってこのばあさんの意地悪はほとんど犯罪である。なぜか後年、アニメ化してましたな。(すぐ終わったけど)ドラマ版のテーマソング「いじ、いじ、いじ、いじいじいじ、いじわるば〜さん」は今でも歌えるぞ。ちなみにアニメ版の歌も歌えるが。。まあいいや

結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤

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結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤

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告訴せず [DVD]

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・・・うわ、DVDまで出てるんだ。江波杏子の乳拝めるだけの作品やぞ、これ

死に花 [DVD]

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・・・これが遺作。藤岡琢也の遺作でもある。多分、森繁久彌のいs(ry

*1:

芸能人別帳 (ちくま文庫)

芸能人別帳 (ちくま文庫)

参照