関敬六、死去
浅草の喜劇人、関敬六が亡くなった。享年78歳。東京に住んでいた頃、浅草の雑多な雰囲気が好きでよく行っていたのだが、幾度か「関敬六劇団」のポスターを見かけた。中学生の頃から「男はつらいよ」ファンだった私には関敬六はテキ屋仲間のポンシュウである。「男はつらいよ」の後期によく出ていた。が、そんなに印象的なシーンはなく、寅さんが叩きやっている隣に写りこんでいる程度の出番だった。あの気難しい渥美清がほぼ唯一友人と呼んだのが、関敬六と谷幹一だった。「渥美清の友人の」関敬六。特に渥美清の死後はそうしたイメージしかなかった。
この2人は渥美が売れないコメディアン時代に3人でスリー・ポケッツというトリオを組んだ頃から親友だった。最も渥美清は上昇志向が強かったので、早々にトリオを解散し、テレビの世界に進出。幾多の雌伏期間を耐えて「男はつらいよ」でブレイク。松竹のスターとなり、やがて日本映画の救世主となった。それでも友情は続いた。
仕事では付き合いがなくても3人は仲がよかったらしく、ブレイク後も休みにはポルノ映画館で「いいぞ!谷ナオミ!いいぞ!谷!谷幹一!」とか3人で騒いでた、とか言う目撃談が小林信彦の「おかしな男 渥美清」に出てくる。晩年の作品に関敬六が出ずっぱりなのは渥美清の希望だったそうだし、本当に仲がよかったんでしょう。
ポンシュウってのは落語の中に出てくる。ぼんやりとした人につけるあだ名で、ポンと上がったまま、シュ〜と水の中に落ちてしまう出来損ないの花火を例えた。「三井の大黒」にも出てくる。落語好きの山田洋次監督らしい。吉田義夫や犬塚弘と並んで密かに登場の多かった、常連さんであった。合掌。明日放送の「男はつらいよ 寅次郎紙風船」にも出ているようなので見ましょう、見ましょう。
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