マコ・イワマツ、死去
訃報が続く。マコ・イワマツが亡くなった。享年72歳。日本ではほとんど無名の存在で晩年、日本映画に数本出たことで映画ファンの間では名前が残った。しかし、経歴を見るとこの爺さんはすごい。
日系人の印象が強いが、この人の生まれは日本である。ただ、戦争中に父母がアメリカに移住している。そのことで戦争中はスパイ呼ばわりされて不幸な少年時代を送ったらしい。戦後になって15歳で渡米。永住権を取得後、軍隊入り。その後、アメリカに帰化している。演劇学校で演技を学び、舞台で活躍する。映画俳優としては66年の「砲艦サンパブロ」でアカデミー助演男優賞にノミネートされている。舞台でも主演舞台「太平洋序曲」でトニー賞にノミネートされている。ハリウッドには昔から日本人俳優も進出しており、助演男優賞のノミネートもナンシー梅木や早川雪州(この人は悪役として大活躍した)に続くものである。何も渡辺謙が初めてではなかったのだ。その経歴から見てもアメリカで最も有名な日本人俳優であった。しかし、今もであるが、アメリカで描かれる日本人像はあまりにもステレオタイプな悪役が多い。マコさんも後年は一般的なイメージと違った日本人を演じようと活動の幅を広げていたらしい。晩年になって日本映画の出演が増えたのも、その一環だったのだろう。
私が印象に残っているのは中国の奥地を案内する中国人に扮した「中国の鳥人」。奥地に残る鳥人伝説をテーマにした映画なのだが、三池崇史は自然と向き合い、伝説に夢を託す日本人を生き生きと描いている。マコさんはそうした日本人に巻き込まれる中国人なんだが、ヤクザの石橋蓮司に追っかけられて「アホが来たよ、アホ」と一目散に逃げていく姿がコミカルで面白かった。
遺作になったのは昨年8月に放送されたWOWOWのドラマ「祖国」。山田洋次が脚本を書いた。なんか辛気臭そうなドラマだったので見逃したが、またWOWOWで放送して欲しいと思う。今年4月にガンが見つかり、療養所暮らしを経て自宅療養。既に末期ガンで手の施しようがなかった。まだまだやりたいことあっただろうに。。合掌。
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