松竹芸能会長、勝忠男死去

小沢昭一ではない

 松竹芸能の会長だった勝忠男が亡くなった。享年80歳。秋田實と手を組んで上方漫才を大きくした功労者である。この人の歩みがそのまま上方芸能であった。笑福亭松鶴藤山寛美もこの人には頭が上がらなかったらしい。

 戸田学が編んだ「六世笑福亭松鶴 はなし」に笑福亭鶴瓶による勝へのインタビューが載っている。酔っ払った松鶴が城戸四郎会長にからんで、追放されかけた「有馬事件」の件が最高に面白い。しかしいくら大きな会社だとしても会長が上方落語の大看板で松竹芸能を代表する芸人だった松鶴を全く知らなかった、というのもすごい。

 その昔、大阪と東京は全く別の文化圏だった、と小林信彦が書いていたことを思い出した。まあ松竹芸能は元々、千土地興行の残党と秋田實の上方演芸が合併してできたものだったし、本体との関係は薄い。事実上、勝さんの会社だったのだろう。

 数年前に起こった七代目問題。これは勝社長が笑福亭仁鶴に襲名を迫ったことから起こった騒動であった。松鶴を継ぎたくなかった仁鶴は弟弟子の松葉を指名したことから騒動が起こった。結局は七代目は松葉が継ぐことになったが、病死。その名跡は勝社長が預かることになったらしいが。。

 1968年から2004年まで社長。芸能界の最前線で陣頭指揮を取り続けた。正直、オモロイ人生だったと思う。合掌。

六世笑福亭松鶴はなし

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米朝・上岡が語る昭和上方漫才

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上方放送お笑い史

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